011年07月21日:平成23年商工労働観光エネルギー委員会 本文
◯阿部委員長
ほかに質疑はございませんか。──高橋副委員長。
◯高橋委員
ただいま諏訪委員のほうから、福島第一原発の事故を踏まえた対応についてさまざま質問がありました。ストレステストについてもお触れになったわけですけれども、今のやりとりを聞いていれば、ストレステストそのものが何なのかよくわからない。しかも、その位置づけすらはっきりしていないという状況でありながらもストレステストはやると。どうにも理解しがたいんですけれども、それはそれとして置いておいて、一つの問題として挙げられるのが、ストレステストそのものではなくて、一たん海江田大臣が、原発は安全だから再稼働を認めてくれと各自治体に要請しましたね。その後、菅総理が、やっぱりストレステストはやると言い出した。つまり、あの安全宣言は何だったのかということが問題として挙げられると思います。
その間の経緯を見ますと各自治体が怒るのは当たり前で、国のトップが本当にぶれまくっているので原発の立地県は振り回されっ放しだし、ひいては国民の生活に影響があると。このことについて、国へ何らかの、抗議とまではいかないまでも、今後しっかりとした責任ある原子力・エネルギー政策を国として打ち出してくれといった要請をしたのか、あるいは今後する予定があるのか、この点についての県の見解を聞きたいと思います。
◯阿部エネルギー総合対策局長
確かに、委員から今御指摘のあったように、当初、国としては緊急安全対策を講じたことにより原子力施設の安全性は確保されたということでお話がありました。それに対して、先般のストレステストの発表の際には、確かにそういう形では緊急安全対策で安全は確保しているんだけれども、さらなる安全・安心、信頼を得るためにはこういうストレステストが必要なんだというふうな御説明でございました。
我々としては、国が一たん安全だと言っておきながら、また改めて突如何の前触れもなくそういうことを言う、立地自治体がそういったことで非常に振り回されることはいかがなものかということがございまして、先週の金曜日でございますけれども、佐々木副知事と私で資源エネルギー庁のほうに参り、長官にお会いしてきまして、国としてエネルギー政策についてはぶれないようにやることが大事だということをお話ししてまいりました。国としては、今回の件では立地自治体に非常に御迷惑をおかけした、今後国としてもエネルギー政策にはしっかりと取り組んでいくというお言葉をエネルギー庁長官からいただいたわけですけれども、県としても、今後、いろんな場面場面、節目節目でしっかりと立地自治体の意見を国に伝えていきたいと思っております。
◯高橋委員
長官がそう言っても国のトップが混乱の原因になっちゃっているという現状がある中で、きのうの国会の予算委員会の中で核燃料サイクルについて見直しが思料されるような答弁をしたとけさの新聞報道で見たんですけれども、この件に関する県の見解を求めます。
◯阿部エネルギー総合対策局長
核燃料サイクル政策につきましては、たしか6月8日ですけれども、知事が原発協の会長として国に要請した際、あわせて青森県知事の立場として海江田大臣に対してサイクル政策について御要請した際に、海江田大臣のほうからは、サイクル政策は非常に重要である、今後も維持し、むしろさらに強化していかなければいけないというふうなお言葉をいただいております。そこを確認してございます。
その上で、一昨日の原子力委員会のほうからの発表ですけれども、その発表につきましては平成24年度の原子力関係経費の見積もりに関する基本的な方針ということで発表したものと承知しておりますが、その中では、基本的な認識といたしまして、今回福島の事故があった、したがって、当面はまずこの福島の事故の収束のために全力を挙げるべきであって、そのために予算も集中的にそちらのほうに配分するべきであろうということで、何といいますか、限られた予算でございますので、今はまずそちらのほうに優先的に予算を使うべきである、その上で、サイクルについても──現在サイクルについてはさまざまなものがあるわけですけれども、継続しないと国益を損ねると考えられるものについては今後も継続してやるということで、要するに、現段階における国で重点的にやる部分という観点からの御発言だと認識してございます。
◯高橋委員
推移を見守りたいと思います。
最後、もう一つ、6月の後半に県議会の原子力・エネルギー対策特別委員会をやりましたね。それで、その後1週間ぐらいかけてまた県民説明会という形で、各事業者が、我々にも、あるいは直接県民にも説明して、当然国からも保安院もエネ庁も来た。その間、ちょうどというか、幸か不幸か、国のエネルギー政策がかなり、ストレステストしかり、脱原発の方針を表明したことしかり、当初の特別委員会の趣旨・目的なり県民説明会の趣旨・目的というのは何だったのかもう一回確認しておきたいのと、あれをもう一回やるのかどうかわかりませんけれども、かなり状況が変わってきている中で、今後の見通しというか、先ほどの答弁と重なる部分があろうかと思いますが、確認も含めて御答弁をお願いしたいと思います。
◯阿部エネルギー総合対策局長
先般、エネルギー対策特別委員会、それから、その前に県議会の全議員に対する説明会を開かせていただいたわけですけれども、その趣旨は、あくまでも、今回の事故を受けまして国のほうから緊急安全対策の指示がおりましたので、その国から来た緊急安全対策の内容、それから、それに対応して各事業者がさまざまな安全対策を講じたわけですけれども、そのことについてまず県議会において説明し、国、事業者が講じた安全対策についてまずは御議論していただこうということで、先般、議員説明会、さらには特別委員会を開催させていただいたところです。
これを受けまして、私どもとしては、議会に対してもそういった形で御説明をし、また御議論をいただいたことについては、速やかに県民の方々にもお知らせし、各階各層の方々にもお知らせし、さまざまな御意見をお伺いする必要があるだろうということを考えまして、7月5日の懇話会を皮切りに、市町村長会議、県民説明会等をこれまで開催してきたところでございます。
あくまでも、その趣旨は、今回の事故を踏まえた安全対策について、県民に不安が広がっているということで、そういうことについての御意見を伺うという趣旨で開かせていただいてきたところでございます。
その後、今御紹介がありましたように、国のほうにおいてはストレステストを実施するということが示されました。それから、菅首相の発言については、その後個人的な見解というようなことで報道もされているようでございますので、そこは個人的な見解だと私どもも思っているわけですけれども、ただ、今後の検証委員会の検証結果、さらには、ストレステストが今後どういうふうな日程でどういった形でやられるのかちょっとわかりませんけれども、そこら辺については、必要に応じて、改めてまた議会に御説明というか、そういった機会が今後出てくる場面も考えられるとは思っております。
以上でございます。
◯高橋委員
それでは、私のほうから、台湾向け本県産リンゴの風評への対応についてお伺いいたします。
先般の報道によれば、台湾向けの国内のリンゴは、5月の輸出量がゼロである、原発の風評被害が直撃という報道もございました。これは本県産のリンゴに限らないものと思われますけれども、海外における日本の農林水産物の風評被害がいよいよ危機的状況にあるのかなと、このことを如実にあらわしておりまして、影響が極めて心配であります。
昨日7月20日から三村知事がこのようなことも受けて台湾を訪問したとのことでありますが、今回の台湾訪問の目的とその内容について御答弁をお願いいたします。
◯小山国際経済課長
それでは、今回の知事をトップとする台湾ミッション団についてお答えします。
本県産の台湾向けリンゴは、平成18年産から21年産まで毎年おおむね2万トンが輸出され、国内価格の安定化に大きく寄与しております。
しかし、今般の東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、最大の輸出先である台湾において原発事故が大きく報道され、風評の影響が広がりまして、消費者の買い控えが生じるなど、本県産リンゴの輸出への影響が懸念されております。
このため、今回、知事みずからリンゴ輸出関係団体等とともに台湾へ出向き、本日21日でございますけれども、輸入食品の放射能検査などを所管する台湾の行政院衛生署──日本でいうと厚生労働省に当たりますけれども──などの政府機関や大手青果物貿易商社などに対して本県の震災後の状況や原発事故の本県への影響などを説明し、世界に品質を誇る本県のトップブランドであります県産リンゴの安全性を強力にアピールし、今後の円滑な輸出継続、さらには輸出促進について要請しているところでございます。
以上です。
◯高橋委員
台湾向け本県産リンゴの輸出促進について、今後県ではどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
◯小山国際経済課長
それでは、今後の取り組みについてお答えいたします。
先ほども申し上げましたけれども、本県産リンゴの最大の輸出先である台湾は国内リンゴ価格の安定化のためにも極めて重要な海外市場であることから、本日台湾で実施する政府機関等への訪問に加え、今後も、現地での消費者向けのプロモーション活動、いわゆる消費宣伝活動などにより、県産リンゴの安全性を消費者層に訴えていくこととしております。
具体的には、本年産リンゴの輸出が本格化する前から消費宣伝活動を展開していくこととし、社団法人青森県りんご対策協議会等と連携しながら、テレビやインターネットなど各種メディアを活用した安全性のPRを行うこととしております。
また、本年産リンゴの輸出初めの10月には、知事が改めて台湾に出向き、りんご対策協議会等と連携しながら青森リンゴのプロモーション活動を実施し、本年産リンゴを持参して現地の消費者等に直接安全性を訴えかけることを予定しております。
このような波状的な取り組みにより、台湾における本年産リンゴに対する風評の影響を回避するよう努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
◯高橋委員
御答弁ありがとうございました。今後、消費者向けの消費宣伝活動にりんご対策協議会等の機関と協力しながら進めていく、あるいは、改めて知事が、10月ですか、秋に、ことしできたリンゴを持っていって、直接消費宣伝活動を行うということであります。
それで、今後の取り組みに期待するばかりでありますけれども、先般、私、友人を課長のほうに御紹介いたしました。その人は、台湾の大学を卒業して、現地というか台湾の女性と知り合って、その後国際結婚をして、現在、青森県で、お子さんもいらっしゃって暮らしていると。7月の頭、この報道が出たときに、私のほうに電話がありまして、奥さんが台湾人なんですけれども、何とか夫婦で協力したい、何かできることがあれば何でもやりますよというお話をいただきました。
それで、知事、あるいは弘前市長も行っているんですか、市町村の率先的なみずからの取り組みはもちろんでありますけれども、りんご対策協議会もしかりですけれども、こういった県内の台湾出身の方であるとか、あるいは台湾にゆかりのある方とか、まさしく非常に大きな課題で大変難しい問題であろうかと思いますので、こういった県民の力もかりてというか、使って、総動員してこの風評被害の一掃のためにやっていただくのも一つの有効な手段となり得ますので、そのことを御提案申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。よろしくお願いします。