2011年06月27日:平成23年第266回定例会(第5号) 本文
◯議長(高樋 憲) 議案第一号から議案第十二号まで、報告第一号から報告第十五号まで及び公社等経営状況説明書等を一括議題とし、質疑を行います。
質疑は議題外にわたらないようにお願いいたします。
十四番高橋修一議員の発言を許可いたします。──高橋議員。
◯十四番(高橋修一) おはようございます。
議案等の質疑を行わせていただきます。
初めに、議案第一号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算案」についてであります。
今回の補正予算は、東日本大震災からの早期復旧あるいは復興のために、生活の再建、また産業の復興、インフラの整備等に係る予算がそれぞれ計上されております。このうち主なるものにつきまして順次質問をさせていただきます。
初めに、歳出六款一項十六目「総合販売戦略費」及び歳出六款一項十七目「食の安全・安心推進費」、農林水産物安全・安心確保モニタリング事業の内容についてであります。
一点目として、県が導入する農林水産物のモニタリング調査用の放射性物質測定機器と農協等が導入する簡易型放射線測定機器をどのように活用していかれるのか御答弁願います。
◯議長(高樋 憲) 農林水産物部長。
◯農林水産部長(渋谷義仁) 農林水産物安全・安心確保モニタリング事業で導入する測定機器の活用についてお答えいたします。
まず、県が導入するモニタリング調査用の放射性物質測定機器は、県内四カ所に配備し、県全域の主要な農林水産物を対象に調査を行うこととしております。
導入予定の測定機器は、放射性セシウムなど放射性物質ごとの放射線量の測定が可能であり、その結果を公表することにより、県産農林水産物の信頼の維持・確保を図っていくこととしております。
また、農協等が導入する簡易型放射線測定機器は、放射性物質の特定はできないものの、放射線量を確認でき、小型で携帯可能なことから、その機動性を生かして農協等がみずから幅広い品目、数量を測定することで、それぞれの販売対策に活用するほか、県のモニタリング調査と連携して、県産農林水産物の信頼の維持・確保につなげていきたいと考えております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) ただいま測定機器の活用につきましてお伺いいたしましたが、次に、モニタリング調査ではどのような品目をいつまでに調査していくことになるのかお伺いをいたします。
◯議長(高樋 憲) 農林水産物部長。
◯農林水産部長(渋谷義仁) 県が実施するモニタリング調査は、県産農林水産物への信頼を確保するため、年度内に約千件を調査する計画となっております。
主な品目は、米や大豆等の穀類を八十八件、ナガイモや大根等の野菜を二百九十七件、リンゴを主体とした果実を百七十一件、畜産物として牛乳を七十二件、イカやサバ等の回遊魚及びホタテガイやヒラメ等の沿岸水産物を三百四十二件であり、収穫・漁獲期に合わせて順次調査することとしております。
このモニタリング調査は、攻めの農林水産業業を進める本県が安全・安心で良質な県産農林水産物を供給していく姿勢を広くアピールするために実施するものであることから、原発事故の現状を考慮すると現時点で期限を明示することはできませんが、少なくとも、県産農林水産物への信頼が十分に確保されると判断できるようになるまでは継続して実施していく必要があるものと考えております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 三週間ほど前なんですが、六月十一日に、私ども自民党の青森県連で、青森市内の商店街で福島県産の野菜のチャリティー販売をいたしました。福島県産の野菜の風評被害をなくそうといった趣旨で行ったわけですが、おかげさまで、用意した野菜は、市民の皆様の善意というか、御協力によってすべて完売することができました。
私も売り子をやったんですけれども、ただ、中には、福島県産ということで買うのをためらうような方も見受けられたように感じました。少々残念に感じた部分もあったんですが、しかし、消費者の行動とすれば、慎重になるというのはわからないでもないのかなというふうにも感じております。
農林水産物の風評被害を一掃するためには、きちんとした正確な情報を適切に提供していく、これに尽きると思いますので、この事業をしっかりとやっていただきたく、お願いをさせていただきます。
次に、歳出六款(後刻「九款」に訂正)二項一目「警察活動費」、交通信号機の停電対策についてであります。
初めに、県内における信号機の設置数及び停電時に稼働する信号機の整備状況、これを御答弁願います。
◯議長(高樋 憲) 警察本部長。
◯警察本部長(寺島喜代次) 県内における信号機の設置数と停電時に稼働する信号機の整備状況についてであります。
まず、県内の信号機の設置数でありますが、二千五百五十七カ所であります。そのうち交差点に設置している信号機は二千四十七カ所となっております。
次に、停電時に稼働する信号機の整備状況についてでありますが、大規模震災による主要交差点の信号機停電対策として、平成七年の阪神・淡路大震災を契機に、本県でも、平成七年から九年までの三年間でディーゼルエンジン式の自動起動型発動発電機を四十二台、平成二十二年度には充電式の静止型非常用電源付加装置を十台それぞれ整備しておりまして、計五十二カ所の主要交差点では停電時に自動的に対応することが可能であります。
また、これ以外の主要交差点につきましては、持ち運びできる可搬式発動発電機を六十台運用して対応することとしております。
以上でございます。(発言多し)
◯議長(高樋 憲) 御静粛に願います。
暑い折より、上着を脱いでよろしいことにいたします。
高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 先ほど歳出六款と申し上げましたが、正しくは九款の誤りでありました。訂正いたします。
ただいま、県内の信号機の設置数二千五百五十七台、うち、整備しているのが──停電時に稼働する信号機の整備状況が合計五十二台ということであります。
今回の補正予算による整備によって、停電時における信号機の消灯をどの程度解消できるのかお伺いをいたします。
◯議長(高樋 憲) 警察本部長。
◯警察本部長(寺島喜代次) 停電消灯した信号機を解消できることになるのかについてお答えします。
停電で信号機が消灯した際には、まず、五十二カ所の主要交差点においては、発動発電機や蓄電池により自動的に電源が確保されて、信号機を作動させます。次に、可搬式の発動発電機六十台を主要交差点に設置して、信号機を作動させることとしております。
したがって、現在、主要交差点のうち百十二カ所については停電時にも点灯することができますので、これに加えまして、今回お願いしている可搬式発動発電機六十台が容認されますと、県下で百七十二カ所の信号機の消灯を解消することができます。
なお、その他の主要交差点につきましては、警察官を現場に配置して交通整理を行うことにより、交通の安全と円滑の確保に努めることとしております。
以上でございます。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 二千五百五十七カ所に対して百七十二カ所と。どう考えても足りないと考えます。信号機の設置箇所すべてに発電機を置く必要はないとは思いますけれども、著しく交通渋滞を伴うような箇所、あるいは主要な幹線道路の交差点、これが県内でどの程度あるのか再点検をしていただいて、今後、計画的に停電対策を行うべく、必要に応じて予算計上をしていっていただきたいとお願いをいたします。
次の質問です。歳出十款一項五目「教育指導費」、緊急スクールカウンセラー等派遣事業費の取り組みについてであります。
東日本大震災により被災した児童生徒等の心のケア、教職員、保護者等への助言・援助などのため同事業が行われるものと思います。
初めに、県がこのたび行う同事業の概要についてお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 教育長。
◯教育長(橋本 都) 緊急スクールカウンセラー等派遣事業は、国の第一次補正予算を受け、東日本大震災により被災した児童生徒等の心のケア、教職員、保護者等への助言・援助などさまざまな課題に対応することを目的に、スクールカウンセラーを派遣するものです。
具体的には、県内の各学校からの要請に対応するため、県内全四十市町村及び県内すべての私立中・高等学校二十一校への派遣ができるよう、スクールカウンセラー延べ六十一人分の予算を計上し、本定例会で御審議いただいているところです。
従前からのスクールカウンセラー配置事業におけるスクールカウンセラーの資格は、文部科学省の実施要領において、臨床心理士、精神科医等と規定されております。また、スクールカウンセラーに準ずる者は、大学や大学院を修了後に、児童生徒の相談業務等について一定以上の経験を有する者等と定められています。
本事業においては、従前の配置事業と比べ資格要件が緩和されていることから、現在採用のスクールカウンセラーの派遣や新たな募集などにより対応することとしております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) ただいま、事業の概要についてお伺いをいたしました。全四十市町村、また、私立の学校二十一校分の予算計上をしたということであります。
御答弁もあったんですけれども、スクールカウンセラーについては、高度で専門的な知識と申しますか、資格を要するということであります。しかしながら、本県の場合は、そういった資格を有する方──臨床心理士、あるいは精神科医は、そもそも人数が少ないという実情もございます。
そこで、専門的な知識や経験が必要なスクールカウンセラーを確保するに当たっての課題と、それに対する取り組みをお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 教育長。
◯教育長(橋本 都) スクールカウンセラーを確保するに当たっての本県の課題としては、臨床心理士等の有資格者が少ないこと、有資格者は既に大学や病院等に勤務しており、兼務が困難な状況にあること、さらには、スクールカウンセラーの居住地に地域の偏りがあることなどが挙げられます。
スクールカウンセラーの確保については、青森県臨床心理士会や大学、病院等の各関係機関と連携したり、県教育委員会のホームページで募集するなど努めており、今年度は、昨年度より、有資格者が三名、準ずる者が六名ふえて、合計四十九名となっております。
県教育委員会としましては、今後も、各関係機関と連携し、理解や協力を得ながらスクールカウンセラーの確保に努め、教育相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) ただいま課題と取り組みについてお伺いしたわけですが、今回、六十一人分の予算計上、金額では三千三百万円ということになっております。
予算計上したとしても、いずれにしてもやる人がいないということは事実でありまして、そういった意味では予算の執行残も想定されるのかなと思っております。
それで、今後、今回の件に限らず、スクールカウンセラーの確保、そして増員に向けて具体的かつ有効な施策を打ち出していく必要があると考えますが、ただいまの答弁であれば運用面でやっていくということでありますけれども、そもそもの人数をどうやって確保していくのかという部分で、教育長、何かお考えがあればお願いいたします。
◯議長(高樋 憲) 教育長。
◯教育長(橋本 都) 今回の緊急スクールカウンセラー事業については、先ほど申しましたように資格要件の緩和がありまして、教育や福祉の分野において専門的な知識・技術を有する者または活動経験の実績等がある者というようなことを含むことになっております。そういうことを踏まえますと──また、国に対しましても、そういう専門的な有資格者を何とか青森県にも配置できるようにということで、また要望をしてまいりたいと考えております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) しっかり行ってください。
次に、歳出十款七項一目「保健給食振興費」、子ども防災力アップ事業費における防災教育についてであります。
すべての学校で防災教育の継続した取り組みを行うためには、学習指導要領に位置づけられることが重要と考えます。
そこで、防災教育は学習指導要領にどのように位置づけられているのかをお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 教育長。
◯教育長(橋本 都) 小・中・高等学校及び特別支援学校の学習指導要領において、学校における安全指導については、児童生徒の発達段階を考慮して、学校の教育活動全体を通じて、家庭や地域社会と連携を図り適切に行うものとするとされております。
学校における防災教育は、災害時に、的確な判断のもとに、みずからの安全を確保するための行動をできるようにすること、進んで地域等の安全に役立つことができるようにすること、自然災害のメカニズムや災害・防災についての基礎的・基本的事項が理解できるようにすることなどをねらいとし、避難訓練だけではなく、例えば、理科での「火山活動と地震」や社会科での「自然災害の防止」等関連する教科のほか、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等において行われているところです。
今回の東日本大震災により、子供の防災意識の向上及び防災教育の充実をより一層図る必要があることから、県教育委員会では、子ども防災力アップ事業を実施することとして、所要の経費を計上し、御審議いただいているところです。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) ただいま、子ども防災力アップ事業についてお伺いしておりますけれども、今回の震災で多くの子供たちのとうとい命が失われました。まことに残念であります。
しかし、そのような中にありましても、日ごろの防災教育や防災活動が多数の命を救ったケースもございました。ニュース、新聞等でも御紹介され、御存じの方もいらっしゃるかと思いますけれども、その記事は、「「避難三原則」守り抜いた釜石の奇跡 防災教育で児童生徒無事」というタイトルがつけられ、震災による大津波から全員無事に避難した岩手県釜石市の鵜住居小学校三百六十一人、釜石東中学校二百二十二人の避難の様子を記事では伝えております。
記事によれば、釜石市では、平成十七年度から、大学教授の指導のもと、子供たちによる登下校時の避難計画立案、津波の脅威を学ぶための授業を増加──年間五から十時間程度充てているということです。そして、タイトルにもありました避難三原則を徹底してたたき込むということで、その三原則は、想定にとらわれない、状況下において最善を尽くす、率先避難者となるということであります。こういった防災教育に釜石市では市全体で取り組んできたということであります。
それで、もちろん望むものではありませんけれども、この防災教育が今回の震災で効果を発揮して、先ほど申し上げました小学校と中学校では、だれ一人犠牲を出すことなく、また、震災による津波を逃れることができたということであります。
本県では、今回の震災で子供たちへの大きな被害はなかったものの、今後いつ起こるかもわからない大災害から子供たちの安全を確保するというのは、言うまでもなく大変重要であります。
それで、防災力アップ事業──今回予算計上されておりますが、こういった実のある防災教育と申しますか、釜石市の事例等も参照していただいて、県内の各学校で実践的な防災教育が行われることを望みます。以上であります。
続きまして、歳出十一款一項六目「現年発生漁港災害復旧費」、漁港災害復旧費及び県費単独漁港災害復旧費の内容についてであります。
このたびの東日本大震災で被災した漁港施設の復旧に当たり、予算措置など、これまでの県の対応状況についてお伺いをいたします。
◯議長(高樋 憲) 青山副知事。
◯副知事(青山祐治) お答えします。
このたびの大震災により被災した漁港施設の復旧に当たりましては、三月二十三日に、漁港内の道路や用地に散乱した漂着ごみなどの除去作業に要する経費として約一億一千二百万円を専決処分し、三月末までには復旧作業や漁業用車両の通行を可能としております。
同じく三月二十三日には、航路や漁船停泊地内に沈んでいる瓦れき等の支障物の撤去作業や港内に堆積した土砂のしゅんせつ、三沢漁港の流失した浮き桟橋、破損した修理兼用船揚げ場などの復旧に要する経費約二億七千二百万円についても予算措置し、五月上旬には漁船の出入港が可能となったほか、浮き桟橋、船揚げ場等については、既に工事に着手し、夏イカ漁等に間に合わせるため、八月末の完成を目指しているところであります。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) ただいま、これまでの県の対応、予算措置などについてお伺いをいたしました。
次に、今後の漁港施設の復旧の見通し、これをお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 青山副知事。
◯副知事(青山祐治) お答えします。
漁港施設の復旧については、倒壊した防波堤や破損した岸壁などを本格的に復旧させる必要があることから、これに要する経費として、国庫補助事業の災害復旧費約二十六億一千八百万円、また、国庫補助事業の対象とならない漁港公園や海水浴場施設の復旧費として約四億五千五百万円を本議会に計上し、御審議いただいているところです。
今後は、七月下旬までに予定している国の災害査定を経た後、速やかに復旧工事を発注し、おおむね二年以内に漁港機能の回復を図ることとしております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 私も、岩手県であったり、あるいは宮城県の三陸沿岸に位置する漁港を何カ所か見てまいりました。釜石であったり、あるいは大船渡、石巻、すべて軒並み壊滅的な被害を受けておりました。
そういった状況の中で、それらに比べれば、県内の各漁港は、最近になって、一部でありますけれども漁も再開されておりまして、復興に向かって動き出しつつあると。あの沿岸は、やっぱり漁業の町でありますので、復興に向かっての最大のシンボルというか、あかしになるのが漁業のしっかりとした復興であるというふうに考えておりますので、その中にあって、青森県の一日も早い漁業再建のために引き続いて御尽力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、歳出十一款二項三目「災害国直轄事業負担金」、港湾施設の災害復旧への取り組みについてであります。
初めに、八戸港八太郎北防波堤の災害復旧事業の概要についてお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 県土整備部長。
◯県土整備部長(大澤健治) 八太郎北防波堤は、水面上四メートルから五メートルで築造されており、延長は約三千五百メートルとなっております。今回の震災によりまして、中央部の約八百四十メートルと先端部の約七百メートルが倒壊しております。
国土交通省に確認したところ、中央部の約八百四十メートルの復旧につきましては、既に港湾局の現地調査が終わり、今後は、早期の物流機能の回復を図るため、消波ブロックの積み上げによる暫定復旧工事を早急に進め、引き続きケーソン本体を順次復旧し、平成二十四年度末までに現状機能での本復旧を目指すと聞いております。
先端部の約七百メートルにつきましては、今後予定されている現地調査を経て、順次復旧工事に着手していくと聞いております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) それでは、今回の地震被害を踏まえて、今後の港湾施設整備にどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 県土整備部長。
◯県土整備部長(大澤健治) 港湾の津波防災対策につきましては、国土交通省では、五月に交通政策審議会港湾分科会の防災部会を設置し、被災要因や施設の防護効果を検証し、港湾における津波対策のあり方を検討することとしております。
八戸港についても、国と県で設置しました八戸港復興会議におきまして、今後、国の方針を踏まえつつ、八戸市や港湾利用者の意見も聞きながら、津波防災対策を検討してまいります。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 一般質問においても、この八戸の港湾施設の災害復旧について多くの議員から質問がございました。その中で、我が会派の森内議員から防波堤の高さのかさ上げについて指摘がありました。私も全くそのとおりだと思っております。今の答弁だと、四から五メートルでこれまで築造されていた、それを現状機能で復旧するということであります。
早期の物流機能の再開というために今行うということでは十分理解しておるんですけれども、中長期的に見れば、また同じ防波堤をつくるということについては、被災地等の津波の被害をかんがみれば、これはどう考えても不十分であると考えます。
最終的には財源の話になってしまうと思うんですけれども、あの大津波に耐え得るハードの整備事業をどうやって行っていくのかということが今後の最大の論点になろうかと思いますけれども、現段階で結構でありますので、このことに対する部長のお考えがあればお願いしたいと思います。
◯議長(高樋 憲) 県土整備部長。
◯県土整備部長(大澤健治) 現状機能での本復旧を目指すということが原則でございますけれども、今回の大震災を受けまして、現在の防波堤は高潮対策の防波堤でございますけれども、津波によってもこれまでよりは抵抗力の大きいものにするというような情報もございますので、県としては、従来の復旧とともに、そういった抵抗力の大きいものをつくっていただくよう要望していきたいというふうに思っております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) ただいま御答弁いただきましたけれども、内容とすればわかるんですが、やっぱり、被災地の状況を見れば、あれだけの被害をこうむったということを見れば、今後、その大津波に耐え得るハード整備をどうやって進めていくのかということを、県としても本当に真剣に──まずは検討ということになりましょうけれども、やっていただきたいと、このことはお願いをしておきます。
最後であります。提出議案知事説明要旨、オーダーメード型貸し工場の活用状況についての知事報告についてであります。
初めに、貸し工場の活用に関する県の基本的な考え方、これをお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 知事。
◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えいたします。
私は、このクリスタルバレイ構想十年間で蓄積されてきた貴重な財産であります高度な技術の継続・発展と技術者の確保を図り、また県民負担を生じさせないためにも、一日も早い工場の再開に取り組んできました。
また、これまでの県議会における議論を真摯に受けとめ、利用企業の経営体質強化など、貸し工場における安定的な事業継続に向けて努力をしてきたところであります。
今般、相和物産株式会社と株式会社サンテクノロジーが新たな合弁会社を設立することで基本合意に至りましたことから、貸し工場の利用企業として一層経営基盤の安定化や営業力強化などが図られるものと考えており、貸し工場の安定的な活用によってリース料を計画的に徴収し、県民負担を生じさせないよう最大限の努力をしてまいる所存であります。
今後とも、先般取りまとめましたクリスタルバレイ構想の取り組みと課題を踏まえ、グローバルな産業経済の潮流の中で、本県の産業インフラやポテンシャルを生かした産業競争力の強化に努めながら、将来に向けて本県の産業振興が図られるよう全力で取り組んでいきます。
私からは以上です。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 合弁会社の経営が悪化し、貸し工場の運営が困難になった場合、県はどのように対応していくのかお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 商工労働部長。
◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問にお答えいたします。
県としましては、合弁会社による貸し工場の安定した利用によりまして、財団法人21あおもり産業総合支援センターへの貸付金が計画的に回収され、県民負担を生じさせないことが最大の責務であると考えております。
このため、現在進められている合弁会社の事業計画策定に際しましては、県及び同センターも参画しまして、合弁会社へのリース料や県への貸付金の返済内容等も含めまして協議を進めているところでございます。
今後、合弁会社設立後におきまして、同社の経営状況や事業環境を見きわめながら六年ごとにリース料を見直しし、さらなる早期回収に努めるほか、同センターと連携しながら、会計の専門家などの協力を得まして、リース料の支払いが計画的に行われるよう定期的なチェックや指導助言を行うなど、合弁会社の経営安定化が図られるよう努めることとしております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) 次に、動きの速いFPD関連産業の中で二十年もの長い期間で貸付金を回収していくためには、カラーフィルターやタッチパネルだけではなく、次の技術や製品開発を進めていく必要があると考えますが、県としてどのようにこれを支援していくのかお伺いいたします。
◯議長(高樋 憲) 商工労働部長。
◯商工労働部長(櫻庭洋一) お答えいたします。
これまで、株式会社サンテクノロジー、相和物産株式会社、財団法人21あおもり産業総合支援センター及び県による合弁会社設立に向けた協議におきましては、当面はカラーフィルターや需要の高いタッチパネルの生産を行うこととしておりますが、グローバル化し競争が激化している業界の中で、将来的には製品価格の下落や受注の減少等が十分予想されることから、次の技術も見据えながら経営していく必要があるとの共通認識を持ち、事業計画の作成等を行ってきているところでございます。
そのため、合弁会社においては、県内の試験研究機関や関連企業との連携、両社の持つ国内外のネットワークの活用、同社に出資する大手電機メーカーの協力等も得ながら、新たなビジネスに向けた技術開発等も並行して進めていくこととしており、県としても、円滑に進められるよう、定期的な経営状況のチェック等の場におきまして適切なアドバイス等を行っていきたいと考えております。
◯議長(高樋 憲) 高橋議員。
◯十四番(高橋修一) それぞれ御答弁いただきました。
この件につきましては、昨年の末からこの議会においてもさまざまな議論がされ、また、指摘もさまざましてまいりました。
まず一つ言えることは、このクリスタルバレイ構想ですが、アンデス、東北デバイス、そして今回のエーアイエスが相次いで破綻したことについては、私は痛恨のきわみであります。クリスタルバレイ構想の破綻は、大いに反省し、今後の教訓とすべきと考えます。
また、この貸し工場制度について申し上げれば、エーアイエス株式会社という特定の企業のために多額の資金を投入することの是非、こういった事態に至った責任の所在、あるいは今後の長期間に及ぶ貸付金の回収の見通し等々がこれまで指摘されてまいりました。
そういった中で、先般、去る二月定例会で、二十九億円の貸し付けを行うということを県議会として議決をしたわけであります。これは、貸し工場の制度を今やめてしまえば、金融機関への返済であったり、あるいは、工場をなくしてしまうというか、その工事にも費用がかかるといったことで、直接的な県民の負担をこれ以上生じさせないという一つの判断もあってあのような議決になったものと私はとらえております。
しかしながら、私とすれば、多くの県民の方々が日々懸命に暮らしている中にあって、県民の税金で賄われるこの二十数億円の予算、これを二十年間で回収するとはいえ、これを選択せざるを得ないということは、今さらながら本当に残念でなりません。
よって、県におかれましては、どのような理由があったにせよ、こういった結果を招いてしまったということについては重く受けとめていただいて、今後このような事態が二度と起こらないように誠心誠意取り組んでいただきたいと考えます。
つまりは、今回報告された合弁会社の経営が将来的に悪化することがないように、この合弁会社が貸し工場を安定して活用できるように、計画的にリース料を不足なく支払って、それに基づく二十年間にわたる貸付金の着実な回収を行うということであります。
言うのは簡単でありますけれども、本当にこれは極めて重い責任が生じたわけでありますので、今私が申し上げたことを真摯に対応していただきたくお願いをいたします。
それから、最後にもう一つ申し上げますと、知事は、就任以来、産業・雇用政策を県の最重点課題として、この八年間、全力を尽くしてこられました。クリスタルバレイ構想の破綻は大いに反省すべきなんですが、しかし、反省すべきですけれども、今後、青森県の産業政策、雇用政策が、今回の件で萎縮しちゃって、反省し過ぎちゃって、何ら新しいことにチャレンジできない、これこそ、最悪の事態というか、シナリオであると私は考えます。
よって、県経済の真の意味での自主自立のために、新しい産業・雇用政策にも──知事は、先般の知事選で堂々たる得票を得て当選したわけでもありますので、これには果敢にチャレンジしていっていただきたいと、これを申し上げまして私の質疑といたします。
以上であります。